自由人の独り言

思いつくまま気まま日記

月まで三キロ 伊与原 新

月まで三キロ 伊与原 新
表題作を始めとした短編小説集。
いずれも読みやすい文章でサラッと読了できる割に、心情描写が巧みで深く、思わずほろっとさせられた。
著者が東大大学院地球惑星物理学博士課程修了という学歴の通りどのエピソードにも理学系の専門知識がわかりやすく披露される。
表題作に誘われて初めて手にしたが、他の著作も読んでみたい。多くの人にオススメ。

月まで三キロ:事業に失敗、妻とも別れて自死を考えていたところに巡り合ったタクシー運転手との出会い。
星六花:婚期を逃しつつあると焦っている女性が出会った気象オタクは?
アンモナイトの探し方:東京から北海道の祖父母の家に訪れた小学生が巡り合ったアンモナイト採集している老人。
天王寺ハイエイタス:ブルースを生きている破天荒な叔父、兄との関係は?
エイリアンの食堂:つくば市で食堂を経営している父子のもとに現れた宇宙人風の女性客。
山を刻む:夫や子どもたちとの関係に悩んでいる主婦の葛藤