自由人の独り言

思いつくまま気まま日記

読書

あなたの人生、片づけます 垣谷 美雨

あなたの人生、片づけます 垣谷 美雨 *外見は素敵な大手生命保険会社広報部に勤める30代OL*妻に先立たれた生活能力のない木魚職人老人*子どもたちが都会に出てしまい一人淋しく田舎の豪邸に独居している老女*夫はエリート公務員だが家事を放棄している主…

はじまらないティータイム 原田ひ香

4人の個性的というべきか究極にエキセントリックなキャラクターの女性たち。いずれにも共感できないし、「実際にこんな人たちが存在したとしたら関わりたくないな」という印象。とはいえこれほど極端ではないにしても似たような傾向の人物は実在するんじゃな…

老人ホテル 原田ひ香

老人ホテル 原田ひ香 大宮のホテルフロンは駅近くの古いビジネスホテル。単価が安いため他に行くところのない孤独な老人たちが長期逗留している。日村天使(ひむらえんじぇる)はキャバクラ嬢を首になりお金に困っていたときに、キャバクラ嬢時代に派手なお…

希望の糸 東野圭吾

希望の糸 東野圭吾 誰からも好かれていて、悪口が全く聞こえてこない喫茶店女性店主が殺された。暗礁に乗り上げる捜査陣。実の父親だという老人が突然名乗り出てきた松村刑事は捜査に尽力する。人工授精が普及してきた現代に血縁関係の持つ力・意味がテーマ…

三千円の使い方 原田ひ香

就職して一人暮らしを始めた美帆は貯金がなかなか貯まらない。姉の真帆は早くに結婚・出産、薄給の夫の収入でやりくりしているしっかりもの。美帆、真帆の祖母:琴子73歳は年金暮しも貯金1千万円では残りの人生には心許なく働くことを考えている。美帆、真帆…

夜に星を放つ 窪美澄

夜に星を放つ 窪美澄思うようにならない心をテーマに綴られた五篇の短編集。それぞれの話につながる点はないが、いずれも星にからむエピソードがちょこっと入っている。真夜中のアボガド:若くして双子の相方をなくした主人公、マッチングアプリで出会ったの…

遺品は語る 赤澤健一

遺品は語る 赤澤健一遺品整理業者が教える「独居老人600万人」「無縁死3万人」時代に必ずやっておくべきこと。 基本的には断捨離、片付け本と主張は似ている。遺品整理業者が著作しているのが異例なところか?第一章は凄惨な遺品整理の現場を描写しているが…

家事か地獄か 最期まですっくと生き抜く唯一の選択  稲垣えみ子

家事か地獄か 最期まですっくと生き抜く唯一の選択 稲垣えみ子 家事・片付けが大嫌いだった著者。50歳で大企業を辞めたので、経済的な理由で家賃の安い・極狭・収納ゼロの築古マンションに引っ越しした。その歳、否応なく大量のモノを処分した結果は・・・最…

青瓜不動 三島屋変調百物語九之続 宮部みゆき

青瓜不動 三島屋変調百物語九之続 宮部みゆき 宮部みゆきさん江戸神田を舞台にした怪談シリーズ第9弾。変わり百物語聞き手富次郎さんの葛藤と成長が描かれる。富次郎さんにはもう少ししっかりして欲しいと思いつつもその心情描写が見事で感情移入してしまう…

リバー 奥田英朗

リバー 奥田英朗 栃木県と群馬県の間を流れる渡良瀬川河川敷に若い女性の遺体が放置される連続殺人が発生。10年前の未解決事件と状況が酷似していて、街の人達を震撼させる。手がかりが少なく証拠を集める刑事たち苦労とその周辺の人たちを描く壮大な群像劇…

ぼんぼん彩句 宮部みゆき

ぼんぼん彩句 宮部みゆき短編小説集。俳句から連想した物語を宮部みゆきさんが小説化。いずれもちょっと変わった作風で人間の怖い面・感情を感じさせる、軽いホラー味が効いている。一つ一つのエピソードはあっという間に読めるので電車に乗っているときなど…

魔女と過ごした七日間 東野圭吾

魔女と過ごした七日間 東野圭吾 中学3年生月沢陸真(つきさわりくま)は父親の月沢克司と二人だけで生活していた。ある日突然父親が殺され、多摩川に浮いている状態で見つかった。家族ぐるみでなにかと気にかけてくれる親友宮前純也とともに父親の通帳をし…

限界ニュータウン 荒廃する超郊外の分譲地 吉川祐介

限界ニュータウン 荒廃する超郊外の分譲地 吉川祐介千葉県北東部には「限界ニュータウン」とも呼ばれる宅地分譲地が点在している。それらの殆どは1970年代不動産投機目的に開発・分譲されてきたが、実際に住むには公共交通機関は皆無に等しい。スーパーなど…

エレジーは流れない 三浦しをん

2023年8月28日読了エレジーは流れない 三浦しをん餅湯温泉街に住む高校二年生穂積怜は「お母さん」が営むぱっとしない土産物屋の店舗兼住宅で暮らしている。毎月第三週は東京に住んでいるもう一人の「おふくろ」と高台の豪邸に通う。父親が居ないが、母親が…

さいはての彼女 原田マハ

さいはての彼女 原田マハ若くもない、年寄でもない微妙なお年頃の女性たちが旅行するエピソードの短編集。原田マハさんの心情描写が巧みで、登場人物に感情移入しそうになる。「旅行」って本当に良いものだなと思わせてくれる珠玉の一冊。 さいはての彼女 秘…

月まで三キロ 伊与原 新

月まで三キロ 伊与原 新表題作を始めとした短編小説集。いずれも読みやすい文章でサラッと読了できる割に、心情描写が巧みで深く、思わずほろっとさせられた。著者が東大大学院地球惑星物理学博士課程修了という学歴の通りどのエピソードにも理学系の専門知…

変な家 雨穴

変な家 雨穴まるで監禁するかのように窓のない子供部屋、秘密の通路らしきスペースなど普通の家にはありえない構造を持った家の間取り図。これを目にしたオカルト専門のフリーライター。その間取り図の家を調べ始めて知ることになった驚くべき物語。 244ペー…

お金の向こうに人がいる 田内学

お金の向こうに人がいる 田内学専門用語が一切出てこない経済の本。・お金(紙幣)自体に価値はない。・価格は価値のように勘違いするが、本当の価値は「効用」。・投資とギャンブルの違い。投資の本当の意味は?・社会全体の問題はお金では解決できない。既…

パンとサーカス 島田雅彦

パンとサーカス 島田雅彦火箱空也(ひばこくうや):広域暴力団の跡取り御影寵児(みかげちょうじ):空也の高校の同級生、東大法学部卒、CIAエージェントとして採用された。桜田マリア(さくらだ):空也の異母妹。現代に生きるマリアさま。てんかんの発作…

護られなかった者たちへ 中山七里

護られなかった者たちへ 中山七里 放置されたあげく餓死するように殺される連続殺人事件が仙台で起きた。殺された二人はいずれも人格者で人に恨まれるような評判は全くない。ほとんど物証がない現場、手がかかりは見つからなかった。宮城県捜査一課所属の笘…

特殊清掃人 中山七里

特殊清掃人 中山七里孤独死者の出た現場では腐敗した死体から流れ出た体液が寝具や床材を汚染。そこにハエ・蛆が湧いている。そんな現場の痕跡を消す作業を専門とする特殊清掃業者「エンドクリーナー」。代表五百旗頭亘(いおきべわたる)、社員の秋廣香澄、…

横浜駅SF全国版

横浜駅SF全国版「横浜駅SF」の続編というべきか、外伝。登場人物ががらりと変わって時代を遡ったり、未来に戻ったり時制がころころ変わって読みにくい。直球の続編ではないはないので、横浜駅SFを読了していなくてもそれなりに楽しめる。自分は間違ってこち…

横浜駅SF

横浜駅SF 冬戦争で文明が破壊された数百年後の遠い未来。自己増殖する「横浜駅」により本州はコンクリートに覆い尽くされていた。そこに住む人間はSuikaが埋め込まれ横浜駅の支配下になっているエキナカ社会。その外側で生まれ育ちSuikaを持たないヒロトが5…

タラント 角田光代

タラント 角田光代「みのり」は38歳の主婦。学生時代に被災地や難民キャンプなどでのボランティア活動に活発だったが、親友の死などを消化しきれずに若い頃の情熱を失い、今は気の合う夫と子供がいない静穏な生活を無気力に続けていた。登校拒否の中学1年生…

相続地獄 森永卓郎

相続地獄 森永卓郎著者の森永卓郎さんお父さんの死亡時に相続手続きでタイトル通り地獄をみるような体験した事例を書籍化。曰く、準備が不足していて法律で定める十ヶ月という期間ではほぼ不可能な手続きに忙殺された。*お父さんとうまくコミュニケーション…

白ゆき姫殺人事件 湊かなえ

化粧品会社の美人OLが滅多刺しにされたうえ火をつけられ黒焦げの遺体で発見された。SNSでは容疑者を特定、その学校時代の噂話が広がる。週刊誌がそれに輪をかけて話を大きくふくらませるという展開。殺人事件の真相は?真犯人を探すミステリー。とはいえ、関…

十字屋敷のピエロ 東野圭吾

十字屋敷のピエロ 東野圭吾 十字屋敷で起きた殺人事件の真相は?真相究明、犯人を割り出す推理小説。名前通り屋敷が十字の形になっていて、それが重要なトリックの種になっている。 事件現場に居た?と言うべきか置かれていたピエロの人形目線での語りが節目…

実家じまい終わらせました! 松本明子

実家じまい終わらせました! 松本明子ご両親が建てた高松市郊外の一軒家は宮大工に作ってもらった釘一本使っていない自慢の立派な木造戸建て。両親を首都圏に呼び寄せてから空き家になって早くも25年間。固定資産税、水道光熱費の基本料金など、その間にかか…

婚活中毒 秋吉理香子

婚活中毒秋吉理香子タイトル通り婚活をめぐる4篇の短編集。読みやすい文書であっという間に読了。サクサク読めると言いたいところだが、誰しも持つであろう心の暗部がさらけ出されていて目をそむけたくなるようなエピソードが多い。解説で「背負い投げ」と…

終活中毒 秋吉理香子

終活中毒 秋吉理香子SDGsな終活:極端に環境保護に熱心な中年女性は余命わずか、その遺産目的で近づいた男の顛末。最後の終活:妻に先立たれた老年男性、疎遠だった息子が実家に来たが・・・小説家の終活:ライバル小説家の遺作を入手した元売れっ子小説家の…