自由人の独り言

思いつくまま気まま日記

老人ホテル 原田ひ香

老人ホテル 原田ひ香

大宮のホテルフロンは駅近くの古いビジネスホテル。
単価が安いため他に行くところのない孤独な老人たちが長期逗留している。
日村天使(ひむらえんじぇる)はキャバクラ嬢を首になりお金に困っていたときに、キャバクラ嬢時代に派手なお金の使い方をしていた資産家の綾小路光子をフロンホテルで見かけた。
天使はお金の作り方を光子に習うべくフロンホテルの清掃従業員として働き始めた。

生活保護制度の不正受給に頼って働かない、金に汚い両親のもと大家族の末っ子として育った日村天使。
不遇な家庭環境と家族関係でお金に関する基礎的な知識もお金の使い方を知らない。
日村天使がそんな社会の最底辺の環境から這い上がる意欲と行動が描かれる。
時制が前後してちょっと読みにくい導入部を乗り越えれば、残りは一気読みさせられる面白さ。
共感できる登場人物は一人もいないけど、人生の最後をフロンホテルで過ごす老人たちの生き様にはちょっと考えさせられた。