自由人の独り言

思いつくまま気まま日記

黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続 宮部みゆき

 

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短編3話と最終章が表題の一作。
第一話「泣きぼくろ」旧友の豆腐屋一家離散を招いた恐ろしいエピソード。
第二話「姑の墓」桜が見事な絶景の丘、女たちのみ絶対に花見を禁止していた一家の結末。
第三話「同行二人」飛脚に取り付いたのっぺらぼうの亡霊の正体は。
第四話「黒武御神火御殿」このエピソードだけで単行本の半分を占める。道に迷って辿り着いた広大な御殿。周囲は化け物がはびこっており、常に深い霧に覆われている。迷い込んでとらわれた六人に「罪を告白せよ」と迫る亡霊?

 

単行本569頁の大作
江戸神田三島町の袋物屋三島屋の次男坊がバトンを受け継いだ江戸怪奇譚を聞く「変わり百物語」
三島屋シリーズの第6作とはいえ前作品集を読んでいなくても楽しめるようにはなっている。
江戸を舞台に理屈では割り切れない不思議な事柄・怪奇なエピソードを話して話捨て、聞いて聞き捨ての「変わり百物語」舞台背景が江戸時代なので不可思議な話が現代劇よりもすんなり読めてしまう。
分厚い本ながら、宮部みゆきさんの文章はとても読みやすくどんどん読み進めてしまった。
江戸で懸命に生きる人達の心情描写が見事。感涙させられること必至。
まだまだ続きそうなので今後の作品が楽しみ。