自由人の独り言

思いつくまま気まま日記

アルツ村 南杏子

2022年8月9日読了
アルツ村 南杏子
札幌に住む、三宅明日香はDV夫から逃れるべく7歳の娘を連れて車で北へ向かった。途中暴漢に襲われたりするもののなんとか逃げ切り北海道中央部人里離れた山中の村になんとかたどり着いた。外の世界から隔絶されているその村は奇妙なことに住人がすべて高齢者で軽重の違いはあれ、全員認知症を患っていた。DVに怯えて暮らしていた札幌から逃れ安全な場所を見つけたかに思えた明日香だったが・・・

北海道の僻地に認知症高齢者を住まわせ、その脳を採取・治療薬開発の研究に使うための秘密の村。
認知症患者、ヤングケアラー、介護が原因の家庭不和問題のみならず北海道の広大な土地が大量に外国資本に購入されていること、認知症治療薬の開発研究が進まない実態。献体が諸外国に比べて圧倒的に少ないなどの問題を一冊の小説に凝縮。あまりにも多くの問題提起を盛り込み過ぎて逆に深堀りできていないかなという印象がある。
読みやすい文体で、サスペンスとしては良く書けている。初めて南杏子さんの小説読んだが、大変おもしろくあっという間に読了。社会人になってから医学部に進み医者に転身という著者の経歴も興味深い。