自由人の独り言

思いつくまま気まま日記

未来 湊かなえ

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未来 湊かなえ

さすがは「イヤミスの女王」湊かなえさんが本領を発揮。

母親が病弱で、唯一頼りにしていた父を病気で亡くした小学生「章子」のもとに20年後の自分から手紙が届いた。「今は苦しい時期だけど頑張れ」と。
小5から中2の章子が日々の生活を綴り、20年後の自分に送る手紙の形で物語が進む。
次章以降、章子に深く関わる三人の目線での話が続く。

いずれも壮絶なイジメ、DV、放火、自殺、近親相姦、性的虐待、親殺し、自殺、AV出演強要などなど酷(むご)過ぎるエピソードのオンパレード。読書中何度も目をそむけたくなる描写。
「嫌な感じ」は読んでる途中から上がりっぱなし。

章子を中心に物語が展開し、終章に向けて謎が解け収斂する。
物語の構成は巧みだし、無理なく最後まで読ませる。
明るい「未来」が見えない少女たちは希望を持てるのだろうか?

ミステリーというよりは、小説版ホラー作品。
映像化は難しいだろうし、もし実現したとしても観たくない。
同著者の代表的作品「告白」を連想させられた。
どういうモチーフから発想を得られるのか?
想像することすらおぞましいエピソードを文章化、小説として昇華。
著者は「イヤミス」の天才。

(図書館11ヶ月待ちだった)