自由人の独り言

思いつくまま気まま日記

元彼の遺言状 新川帆立

元彼の遺言状 新川帆立
資産家の森川栄治が死に際に遺言状を残した。「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る。」と。
「犯人選考会」に立候補する栄治の友人・篠田の代理人弁護士として剣持麗子は成功報酬百五十億円と目論み奔走。
そんなさなか栄治の顧問弁護士村山が何者かに殺され、肝心の遺言状が盗まれた。

十億円程度の報酬では危ない橋は渡れない。百数十億円のためなら死にものぐるいで働く剣持麗子。
目的はお金。お金がほしいから貪欲にその努力を惜しまないと弁護士として働いている。
当初は森川栄治を殺した人物を仕立て上げる尽力をしていたが、後半には村山弁護士の殺害犯探し、森川栄治の死の真相とキテレツな遺言状の意味を推理するサスペンス小説。主人公の主張が変わる心情描写はいまいち物足りないところもあったが、物語展開テンポいいし、謎解きも破綻しないでよく書けている。
著者:新川帆立のデビュー作品だろうか?「このミステリーがすごい!」大賞受賞作品。
ダラス生まれ、麻雀協会プロテスト合格、その後弁護士として大手事務所に勤務という多才で優秀な著者:新川帆立さん。主人公の剣持麗子には著者のキャラクターが反映されているのだろうか?尖っていてしかも、鋭利。なかなか実際にはお目にかかれなさそう。
とはいえ、小説としてはよく書けていて面白かった。続編あるらしいのでそのうち読んでみよう。