自由人の独り言

思いつくまま気まま日記

余命一年、男をかう  吉川 トリコ

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余命一年、男をかう  吉川 トリコ

「お金では買えないものだってあるのかもしれないが、この世にはお金でしか買えないもののほうがはるかに多いし、それ相応の金額をだせばだいたいなんでも手に入る。」

「何が楽しくて生きているのかわからないさびしい独身女だと周囲に思われている私。」
「私という人間の本質は自販機の百五十円のお茶を買い渋るところにある。」


一般的にお金を使うような楽しみは一切せず、倹約に倹約を重ねてつましく生活している。独身40歳過ぎのOL片倉唯(ゆい)は子宮頸がんで余命1~3年と宣告された。呆然としているところを病院でホスト男に70万円を貸してから人生が動き出す。


第一部は唯目線で物語が進み、第二部はイケメンホスト瀬名吉高が語る。
強烈なキャラクターが人生を通してお金に心配すること無いように、自分だけの力で生きていけるようにと二十代でマンションを購入し徹底的に節約する生活を送ってきた。そんな主人公の心情が変わるところのきっかけや理由が読み取れなかった。
いずれの登場人物の言動にも共感できずじまい。


モチーフとしては面白いが、結局一般的な少女漫画主人公のような結末。基本は若い女性目線で書かれている。小説内の言葉一つをとっても爺さんのわたしとは意味合いが違うのかもしれない。


吉川トリコさんの小説は初めて読んだ。

文章は平易な表現で読みやすく、するすると読めたものの今ひとつ共感できないまま読了。
2021年7月発刊された本書。有料動画配信サービスやコロナ禍での生活など時事的な描写が現代の世相をうまく表していた。