自由人の独り言

思いつくまま気まま日記

ある男 平野啓一郎

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林業事故で急死した男は戸籍と過去の経歴を妻や家族に偽っていた。
その男の過去を追う弁護士の物語。
大作。
盛りだくさんな内容。
戸籍交換・詐称、変身願望、在日三世の心情、関東大震災朝鮮人虐殺、現代の過激ヘイト活動、死刑肯定論・廃止論、犯罪者の家族問題、夫婦間の行き違い・浮気。

戸籍交換というテーマが主題で、宮部みゆき火車」を連想した。
平野啓一郎さんの著作は始めて読んだが、一般的でない漢字使いが多かったり
少々クドい文学的比喩を用いた表現など鼻に付く点も多い。
とはいえよく書けているサスペンス小説で一気に完読した。
登場人物の心情描写は深いし、説明口調のセリフもない。
秀作。
これ以外にも平野啓一郎さんの本を読んでみたいと思った。