自由人の独り言

思いつくまま気まま日記

カタストロフ・マニア 島田雅彦

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カタストロフ・マニア 島田雅彦

 

ある日太陽の異常コロナ質量放出であらゆる電気設備が壊滅的被害を受けたところに、未知の殺人伝染病ウイルスが蔓延し多くの人が死に絶えた2036年の東京が舞台。
主人公「シマダ ミロク」は異変が起きた、その時は新薬治験のバイトで冬眠状態だった。目覚めてすべてが一変した世界でサバイバルに奮闘する。

伝染病ウイルスで人口急減、人類存続の危機という小説はたくさんあるだろうけど、この小説では政府と近親者達だけは首都地下に用意された安全・快適なシェルターに籠り隠れる。市民は自分たちの力だけで生き延びなくてはならない。などなど設定がSFにしては現実社会を描写していて空恐ろしいくらいにリアル。

読んだのがコロナウイルスで世界中が大騒ぎになっている昨今。非現実的な話とはとても切り捨てられない。
結構観念的な内容も多いのだが、島田雅彦さんの文章は大変読みやすくあっという間に完読。ギャグもあちこちに聞いていて思わず笑わされてしまう。

ぜひ多くの人に読んでもらいたいし、感想を分かち合いたい。

 

印象に残った文章
* 「人口の9割が淘汰されるようなカタストロフィーでも淘汰されるのは貧しい人たち、虐げられている人達から。」

*人はみな一様に従順だった。もしかすると「どんな事態にも冷静に対処する日本人」は「早々に抵抗を諦める日本人」と表裏一体なのかもしれない。

*「現実自体が小説なんかよりよほど巧妙に仕組まれたフィクションなんだよ。」