自由人の独り言

思いつくまま気まま日記

日没 桐野夏生

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日没
一年半前にヘイトスピーチ法が成立した社会が舞台。ヘイトスピーチだけでなく、あらゆる表現中の性差別、人種差別なども政府機関は規制し始めていた。そんなさなか、小説家や作家が相次いで入院・自殺しているという噂。
小説家マッツ夢井に政府機関から召喚状がとどき、茨城県の断崖絶壁海岸沿いにある「療養所」と名乗る施設に収容された。政府機関によるとマッツは社会に悪影響を与える小説を書いているという理由でマッツを更生と矯正するために「入院」と称し外界との連絡を一切閉ざされた収容所に収監。食事虐待・自由束縛などで精神的にも肉体的にもマッツの限界を超える極限の監禁されるさまが詳細に表現された。
特定秘密保護法庵・安全保障関連法案(戦争法)・テロ等準備罪(共謀法)などなど国会で強行採決がくりかえされる近年。そんな状況でも国政・地方政治いずれも低投票率がつづく現代日本。「政府による人権侵害」それは実現しかねない、もしかしたらすでに実現しているかもしれない状況を小説として表現された、桐野夏生さんからの大いなる警鐘。