フラワー銀行員の藤原道長、上司の不正を咎めて不正融資を独断で阻止し逃亡生活を送ることに。
銀行・警察の追跡をかわして潜伏生活を送る、その方法は路上生活。
隅田川沿い、上野公園など路上生活者の生態を測量しお金がなくても生きていけるかの生活力に生存存続をかける。
路上生活の有様を描くのがとにかく微細に描写されて精密。なるほどそういうものなのかなと納得させられることしきり。
中野、吉祥寺、二子玉川と流れ流れて川べりにたどり着く過程は、主人公に感情移入してしまいいつの間にか応援しながらぐいぐい読み進めていた。
最終章はやや唐突というか表現が尻切れトンボのような感じも受けたが全体としてはよく掛けている。
思いがけず面白い一冊だった。