PLAN75
超高齢化が進んだ日本社会、高齢者施設大量殺傷事件が連発。高齢化率を下げ、若年世代の負担を減らすため75歳以上の人を対象とした制度。生活困窮、身寄りがない、生きる意欲を失った老人たちが自ら選択する「PLAN75」。申し込んだ人には10万円が支給され、使ったあとには尊厳死する施設に入ることになる。
主人公：角谷ミチ78歳（倍賞千恵子）はホテル客室清掃員の仕事を高齢という理由でクビになった。住まいの団地から立ち退きも迫られている。年齢を理由に次の仕事はなかなか見つからないし、借家も見つからない。数少ない友人が孤独死しているのを目撃しショックを受けとうとう「プラン75」に申し込んだ。
説明セリフはほとんどなく、俳優の演技・表情を鑑賞して心情を察してほしいという基本的な演出。そのため多くのシーンの間が長い。この映画の主題「PLAN75」制度の実態が本編中でもなかなか見えてこない。
「寂しい老人は若い人たちと交流するのを幸せと感じる」とか「老人は寂しいのだ」という価値観や誇張・強調し過ぎな老人の描写に作者の押し付けがましさを感じる。また登場人物たちの行動にも同感しかねるところも多い。
急速に高まる高齢化率、「PLAN75」のような姥捨制度はどうか？と問題提起はしているものの、では作者の主張はどうなの？と聞かれれば、それもお察ししてください的な表現に終わっていて消化不良。
できの悪い作品ではないが、手放しで称賛できるレベルでもない。映画評も賛否両論のいずれも極端になりそう。
