自由人の独り言

思いつくまま気まま日記

解体現場少年

我が家の目の前の保育園が経年により建て替え工事を実施している。
3月までに新しい園舎を建築しおわり、4月からは既存の園舎の解体工事が始まった。コンクリート造3階建ての園舎は解体するにも何ヶ月もかけて実施している。

いつの頃からだろうか工事の騒音振動・ホコリに耐えつつ、工事現場の入り口に張り付くようにして覗いている少年に気づいた。小学校の3・4年生くらいだろうか、重機に興味があるのかじーっと工事の様子を眺めている。少年は学校が終わると直ちに来ていた。

夏休みに入ると朝8時半の工事開始から夕方16時半の工事終了まで頑張るようになった。ある土曜日の作業の終了間際に重機の運転手が少年を現場内に呼び寄せ運転席に座らせていた。少年は喜んで運転席にすわっていた。そのうち少年は現場出入り口の警備員老人と仲良くなりパイロンで区切った敷地内入り口の区画に入らせてもらっていた。重機の作業が終わり新しい園庭とその附属施設の建設工事が始まる頃には、少年はヘルメットをかぶりなにやらスコップや箒で作業のマネごとみたいなことをし始めていた。

9月に入り夏休みが終わったであろう頃になっても少年の工事現場通いは続いた。8月中と同じく朝から夕方まできっちりと作業の時間には現場に入り浸り、寝坊や遅刻もしない。小学生にして不登校なのだろうか?両親や学校は公認しているのだろうか?警備員の老人は親と話はつけているのだろうか?疑問は尽きないが少年は相変わらず溌剌と活動している。小学校で習う事を飛ばして、大人になってから困ることはないだろうか?とはいえ不登校で繁華街やゲームセンターに出入りするよりは工事現場に居るのは周りの大人からすれば安心だろう。

家は徒歩圏なのだろうが、自転車で通ってきていて最初は歩道に停めていたのが、そのうち近くのローソンに停めているなとおもったら今や現場敷地内に駐輪場所を確保してもらっている。家から梨を剥いて持ってきて、作業員に差し入れたりもしていた。

10月いよいよ新しい園庭・クルマ寄せの工事が完了した。工事現場警備員の老人と少年はどこに行ったのだろうか?

ある日、新聞の投稿にあれっと思った。我が家の目の前の工事現場でずっと観察していた少年の話みたいだなぁと・・・。どうも御当人のお母さんが投書していた。なるほど事情がだいぶ理解できた。我が家から猛暑にもめげずに「じとー」っと解体を見つめていた少年。我が家前の工事現場が終了しても次の居場所が見つかると良いね。